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管理監督者の賃金管理

管理監督者に対しては、時間外労働手当・休日労働手当を支給する必要はありませんが、深夜業の割増賃金については支給する必要があります(最高裁判所第二小法廷平成21年12月18日判決)。この点に関して、実務上問題となる点についてまとめてみます。

1 深夜業の割増賃金について就業規則への明記
上記最高裁判決は、管理監督者に対する深夜業の割増賃金を支給する義務を明らかにする一方で、所定賃金の中で深夜労働手当の額を明示すれば、その限度で支給義務を免れることを明らかにしています。

したがって、よく見られる「管理監督者に対しては深夜業の割増賃金を支給しない」という趣旨の規定が許されないのは当然ですが、「管理監督者の深夜業の割増賃金は所定賃金の中に含まれる」という規定でも不十分ということになります。

例えば、「役職手当は10万円とし、うち3万円は深夜労働手当とする」という趣旨の規定であれば問題はないものと考えられます。

2 深夜業の割増賃金の計算方法
管理職の深夜割増賃金について上記の規定を設けたとしても、それを超過する場合には深夜割増賃金を支給する義務が発生します。

ここで、管理職に対し深夜割増賃金を支給する場合、支給額は一般の労働者と同様に1時間あたりの基本給×1.25倍となるのか、1時間あたりの基本給×0.25倍で足りるのかという問題がありますが、この点に関しては一般的には後者の考え方で良いとされています。

また、管理職については所定労働時間という概念がなじまないため、深夜割増賃金の算定の前提として管理職の所定労働時間をどう考えるかという問題がありますが、特段の規定がない限り、一般の従業員と同じ(通常は1日8時間)と考えることになります。管理職の所定労働時間については、1日10時間とするような規定を設けることも法理論上は可能とする考え方もありますが、判例実務上このような規定が許されることが確立しているわけではありませんし、よほど深夜業が予定されていない限りは無理にこのような規程を設ける必要はないと考えられます。

3 深夜業の割増賃金の賃金台帳への記載義務
労働基準法施行規則第54条5項は、管理監督者については、賃金台帳に(時間外労働時間数や休日労働時間数と同様に)深夜労働時間数・深夜割増賃金額を記入しなくてよいことを規定しています。しかしながら、上記最高裁判決のとおり管理監督者でも深夜業割増賃金を支給する義務がある以上、この規定は制定者のミスであると考えられています。実際に、旧労働省昭和23年2月3日基発第161号では、管理監督者に関し施行規則第
54 条第1項第6号の「深夜労働時間数」は賃金台帳
に記入するよう通達しています。企業としては、これに従っておくことが確実とえます。

当事務所の弁護士は、管理監督者に関する労働問題についても多数の業務経験を有しております。少しでもお悩みの場合には是非当事務所にご相談ください。

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