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信頼できる相手との取引でも契約書は必要か?

しばしば、契約書を作成しない理由として、「契約の相手が信頼できるのでわざわざ契約書を作成する必要はない。これまでの取引においても裏切られたことは一切ない。」とおっしゃる方もいます。

この背後には、「契約書を作成したい」と相手方に申し入れることは相手方に失礼であるとか相手方との信頼関係が壊れてしまうという懸念もあるのだと思います。

この問題について、「絶対裏切らない相手なんか存在しえないのだから契約書を作成すべきである」と説明する人も多いですが(弁護士であっても、この程度の説明しかできない人もいます)、実際の取引実務では、長年の信頼関係のある相手が突然手のひらを返したように契約上の義務の存在自体を否定することは決して多くはありません。

しかしながら、仮に、「相手が100%信頼できる、未来永劫絶対に裏切らない」としても契約書は作成しておくべきなのです。このことは、いくつかの具体例から考えるとすぐにわかります。

事例1 あなたが親しい友人に100万円を貸したという事例で考えてみます。

その友人はとても信頼できる人で、絶対に約束は守ってくれる人なので、あなたも100万円をねん出して友人に渡しましたが、契約書や借用書は作らなかったとします。ところが、その直後に、友人は不慮の事故により亡くなってしまいました。
この場合、あなたは、友人の相続人に事情を説明してお金を返してもらうしかありません。しかしながら、友人が生前に家族に何も説明していなければ、相続人はがあなたの請求に応じることはできないでしょうし、請求に応じないことについて相続人には何の非もありません。もちろん、契約書がなくても他の証拠等から最終的に貸付金を回収できることもあるでしょうが、そのハードルは高く、また、親しかった友人の親族と争うという不幸な事態は避けられません。

事例2 あなたが父親から借入金として資金援助を受けていた事例で考えてみます。

あなたは個人事業の立ち上げのため多額の資金が必要になり、父親から1000万円を借り入れたとします。父親も決してお金に余裕があるわけではないので、3年後から分割して必ず全額返す、利息も付けるという約束で資金援助を受けたものの契約書は作成しなかったとします。ところが、その後、税務署が資金の流れをつかんで、贈与税の支払い義務があると主張してきたとします。あなたはこのお金は借入金であると主張するでしょうか、税務署に対してその主張を通せる自信はありますか?最終的に、借入金であることを立証できたとしても、そこに至るまでには多大なる労力・時間・お金を費やすことになるかもしれません。

第3 取引先から商品を購入したが、資金繰りが厳しいので取引先担当者と相談して分割払いにしてもらったという事例で考えてみます。

購入時には取引先が提示した定型の契約書にサインをしたものの、分割払の合意については特に書面は作成されなかったとします。取引先とは長い付き合いで、担当者との付き合いも長いので、あなたの会社も分割払いの合意が反故にされるとは思っていませんし、取引先の担当者も、これまでの信頼関係があるので貴社からの分割払の申し入れにに快く応じていただいた。しかしながら、その後、担当者が突然、会社を辞めてしまったとします。この場合、後任の担当者は、分割払いの合意の存在を簡単には認めてくれないでしょう。このように企業の担当者間での口約束は、社内で情報共有がなされているとは限らず、担当者の退社等で紛争に発展するケースは、取引実務上も珍しくなありません。結果的に他の証拠からこちらの主張を認めてもらえたとしても、その後の取引関係に大きな亀裂を残してしまうこともよくあります

これらの事例はあくまで一例にすぎませんが、いずれにしても単に契約の相手が信用できるというだけで契約書の作成を怠れば、不測の損害や紛争に巻き込まれるリスクがあることは明らかです。

いちいち細かい契約書なんて作ってられないという気持ちもわからなくはないですが、簡単な文書でもいいので、必ず契約書を取り交わしておく習慣をつけておくべきでしょう。

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